評価コメント、書くたびに胃が痛くなる問題
半期に一度やってくる人事評価シーズン。
部下や後輩の評価シートにコメントを書く作業が、地味にしんどい。
「がんばっていました」だけでは薄っぺらいし、かといって具体的に書こうとすると「あれ、この半年で何があったっけ……」と記憶をたぐることになる。さらに、改善点を書く欄では相手を傷つけない表現を探して何十分も悩む。
5人分の評価コメントを書くのに、丸一日かかったこともあった。
そんなとき、AIに「壁打ち相手」になってもらったら、驚くほどスムーズに書けるようになった。
なぜ評価コメントは難しいのか
冷静に考えると、評価コメントが難しい理由は3つある。
- 具体性が求められる:「よくやっている」では評価にならない。何をどう頑張ったのか書く必要がある
- ポジティブとネガティブのバランス:良い点だけでも改善点だけでもダメ。両方をバランスよく書きたい
- 表現の引き出し不足:毎回同じような言い回しになってしまい、使い回し感が出る
つまり、伝えたい内容はぼんやりあるのに、適切な言葉にできないという状態。これはまさにAIが得意な領域だと気づいた。
AIへのプロンプト例:良い点を書く
まずは良い点(評価ポイント)のコメントから。AIにはこんなふうに頼む。
以下の情報をもとに、人事評価の「良い点」コメントを3〜4文で作成してください。
具体的な行動に触れつつ、組織への貢献が伝わるトーンでお願いします。
【対象者】入社3年目の事務スタッフ(後輩)
【期間】2025年10月〜2026年3月
【印象に残っている点】
・請求書処理のダブルチェック体制を自分から提案してくれた
・新入社員に備品発注の手順を教えていた
・繁忙期も優先順位をつけて落ち着いて対応していた
すると、AIはこんなコメントを出してくれる。
請求書処理において自発的にダブルチェック体制を提案し、チーム全体のミス防止に貢献しました。また、新入社員への備品発注手順の指導を積極的に行い、後輩育成にも意識が向いている点は高く評価できます。繁忙期にも優先順位を的確に判断しながら落ち着いて業務に取り組み、チームの信頼を得ています。
自分のメモ書きが、ちゃんとした評価コメントに変換される。「言いたかったのはこれ!」という感覚がある。
AIへのプロンプト例:改善点を書く
難しいのはこっち。改善点は書き方を間違えると「ダメ出し」に聞こえてしまう。
以下の情報をもとに、人事評価の「今後の期待・改善点」コメントを作成してください。
相手の成長を応援するトーンで、否定的にならないようにしてください。
【対象者】入社3年目の事務スタッフ
【気になっている点】
・報連相がやや遅いことがある(問題が大きくなってから報告が来る)
・ExcelやWordのスキルがもう少しあると業務の幅が広がりそう
・会議で発言が少ない
AIの出力例:
業務遂行力は着実に伸びており、次のステップとして報連相のタイミングをさらに意識できるとよいでしょう。特に、課題の早期共有を心がけることで、周囲のサポートを受けやすくなり、よりスムーズに業務を進められるはずです。また、ExcelやWordのスキルアップに取り組むことで担当できる業務の幅が広がります。会議での発言も少しずつ増やしていけると、チームへの貢献がさらに可視化されるでしょう。
ポイントは、プロンプトに**「相手の成長を応援するトーンで」と指定している**こと。この一言があるだけで、AIの出力が「指摘」ではなく「期待」のニュアンスになる。
自分の言葉に直す:ここだけは手を抜かない
AIの出力をそのままコピペするのはおすすめしない。理由は2つ。
- 自分の言葉じゃないとバレる:評価コメントは対面で話す場面もある。書いた本人が内容を語れないと信頼を失う
- 細かいニュアンスがズレることがある:AIは状況の100%を知らないので、実態と微妙に違う表現が混ざることがある
おすすめの流れは以下の通り。
- AIにたたき台を出してもらう
- 事実と違う部分を修正する
- 自分らしい言い回しに調整する
- 声に出して読んでみて、違和感がないか確認する
AIは「下書き担当」、最終判断は自分。このスタンスが大事。
よく使うプロンプトのバリエーション
評価シーズン以外にも、フィードバックが必要な場面は意外と多い。
| 場面 | プロンプト例 |
|---|---|
| 日常のちょっとした褒め言葉 | 「後輩が○○をしてくれたので、チャットで感謝を伝えたい。カジュアルだけど具体的な一言を考えて」 |
| プロジェクト終了後の振り返り | 「以下のメンバーの貢献をまとめたフィードバックを作成して。箇条書きで」 |
| 360度評価の記入 | 「同僚の○○さんについて、以下の観点でコメントを書いて:協調性、業務品質、主体性」 |
| 実習生・インターンへの評価 | 「2週間の実習を終えた学生へ、成長した点と今後のアドバイスを含むコメントを作成して」 |
どの場面でも共通するのは、箇条書きで材料を渡して、AIに文章化してもらうという流れ。材料さえあれば、AIは適切なトーンと構成で仕上げてくれる。
注意点:AIに丸投げしない3つの理由
便利だからといって、評価コメントをAIに丸投げするのは避けたい。
- 評価は信頼関係の一部:相手は「自分のことをちゃんと見てくれているか」を気にしている。機械的な文章では気持ちが伝わらない
- 事実確認は人間の仕事:AIは「請求書処理を改善した」と書けるが、本当にそうだったかは自分しか知らない
- 人事情報の取り扱い:評価内容は個人情報に近い。AIに入力する際は、個人名や社名を伏せるなど配慮が必要
AIはあくまでも「書き方のアシスタント」。判断するのは自分自身だということを忘れずに。
まとめ:評価コメントは「伝え方」の問題だった
評価コメントが難しかったのは、相手の働きぶりを知らなかったからじゃない。知っているのに、うまく言葉にできなかっただけ。
AIに手伝ってもらうようになってから、評価コメントを書く時間は1人あたり30分から10〜15分に短縮された。しかも、以前より具体的で前向きなコメントが書けるようになった。
「評価シートを開くと手が止まる」という人は、まずAIに箇条書きのメモを渡すところから始めてみてほしい。きっと「なんだ、こんなに楽になるのか」と感じるはず。