何が起きたか

Microsoft Copilotで資料作成の相談をしていたときのこと。同じチャットルームでやり取りを続けていたら、だんだん応答が遅くなってきた。ちょうどAIスライド作成ツールで資料の骨組みを作るような、長い相談になりがちな作業だった。

最初は数秒で返ってきていたのに、やり取りが30往復を超えたあたりから10秒以上待たされるように。さらに続けると、途中で回答が途切れたり、こちらの質問を正しく理解してくれなくなったりした。

仕事の締め切りが迫っているのに、AIが重くて進まない。これは地味にストレスだった。ちなみにExcelのフリーズやWi-Fi不調など「PCそのもの」の不調は別問題で、よくあるPCトラブルもAIに手順を聞けば自力で直せることが多い。

原因:チャット履歴が長くなると重く・遅くなる

調べてみると、チャットの履歴が長くなるとAIの処理が重くなるのは仕様らしい。

AIは毎回、過去のやり取り全部を読み返してから回答を生成している。つまりチャットが長くなればなるほど、「読み返す量」が増えて遅くなる。人間で言えば、100ページの議事録を毎回最初から読み直してから返事するようなもの。そりゃ遅くなる。

重くなるサインを見逃さない

経験上、以下のサインが出たら「引っ越し」のタイミング。

  • 応答が5秒以上かかるようになった — 最初は2〜3秒だったのに明らかに遅い
  • 回答が途中で切れる — 長文を生成しきれなくなっている
  • 同じ質問をしたのに前と違う回答が返ってくる — 過去の文脈を正しく追えていない
  • 「先ほどお伝えした通り〜」と言ったのに覚えていない — 古い発言が処理対象から外れている
  • やり取りが20〜30往復を超えた — だいたいこのあたりから怪しくなる

自分の場合、30往復あたりが限界だった。テーマが複雑な相談(資料作成や企画書など)ほど、1回のやり取りが長くなるので早めに限界が来る傾向がある。

解決法:チャットの「引っ越し」

やり方はシンプル。

今のチャットで「別のチャットに移りたいので、これまでの内容をまとめてください」と送る。

すると、Copilotがこれまでのやり取りの要点を整理してくれる。それを新しいチャットの最初のメッセージとして送れば、続きからスタートできる

具体的な手順

  1. 重くなったチャットで「これまでのやり取りを要約して、新しいチャットで続きができるようにまとめてください」と送る
  2. Copilotがまとめを生成してくれる
  3. 新しいチャットを開く
  4. まとめをコピペして送る
  5. 「この続きから○○をお願いします」と依頼する

プロンプト例

引っ越しの際に使えるプロンプトをいくつか紹介する。

シンプル版:

これまでのやり取りを要約して、新しいチャットで続きができるようにまとめてください。

詳しく引き継ぎたい版:

これまでのやり取りを以下の形式でまとめてください。 ・目的:何をしようとしているか ・決まったこと:合意した内容や方向性 ・未決事項:まだ決まっていないこと ・次にやること:次のステップ

資料作成の途中で引っ越す版:

現在作成中の資料の進捗をまとめてください。 ・完成した部分 ・まだ書いていない部分 ・修正が必要な箇所 新しいチャットで続きを作れるように整理してください。

自分は2つ目の「詳しく引き継ぎたい版」をよく使う。目的と未決事項が明確になるので、新しいチャットでの再開がスムーズになる。

やってみた結果

嘘みたいにサクサク動く。

新しいチャットだから当然だけど、応答速度が最初の頃に戻った。しかもCopilotが作ってくれたまとめが的確なので、文脈もちゃんと引き継がれている。

特に便利だったのが、「別のチャットに移りたい」と伝えるだけで、次のチャットに送るべき内容をCopilot自身が作ってくれること。自分で要約する手間がゼロ。

Before / After

項目引っ越し前引っ越し後
応答速度10秒以上2〜3秒
回答の精度文脈を見失う的確に回答
回答の途切れ頻発なし
作業効率待ち時間でストレススムーズに進行

よくある失敗パターンと対策

失敗①:まとめをコピペし忘れる

新しいチャットを開いて、いきなり続きの質問をしてしまうパターン。当然、AIは過去の文脈を知らないので的外れな回答が返ってくる。

対策: まとめは必ず最初のメッセージとして送る。Copilotが生成したまとめをコピーしたら、すぐに新しいチャットに貼り付ける。

失敗②:引っ越しのタイミングが遅すぎる

チャットが重くなりすぎると、まとめの生成すら遅くなったり、途中で切れたりする。

対策: 「ちょっと遅いな」と感じたら即引っ越し。完全に重くなる前が理想。20往復を超えたら一度考える。

失敗③:まとめが長すぎる

やり取りが膨大だと、まとめ自体が長文になりすぎて、新しいチャットでも早く重くなってしまう。

対策: まとめは「箇条書きで要点だけ」と指定する。詳細な経緯よりも、決定事項と次のアクションだけ引き継げば十分。

引っ越しでも軽くならないとき(その他の原因)

会話を引っ越しても重い・遅いままなら、原因はチャット履歴ではなく別のところにある。よくあるのは次の4つだ。

  • ブラウザ版が重い — Edgeなどでタブを大量に開いていたり、拡張機能が多いと重くなる。不要なタブを閉じ、拡張機能を一度オフにして、ブラウザを再起動してみる。それでも改善しなければアプリ版(Windows/Teams内)を使うと軽いことが多い。
  • PCのメモリ不足 — Teams・Excel・ブラウザを同時に開いていると、Copilotに回すメモリが足りず全体が遅くなる。使っていないアプリを閉じるか、一度PCを再起動する。
  • 一時的な混雑・不具合 — 時間帯によってはCopilot側が混み合って遅いこともある。数分おいてから試す、一度サインインし直す、スマホなど別デバイスで同じ症状か確認すると切り分けられる。
  • Microsoft 365 Copilot(Word・Excel内)が遅い — 開いているファイルが大きかったり、アドインが多いと処理が重くなる。ファイルを分割する、Officeを最新版に更新すると改善しやすい。

まずは「会話を引っ越して直るか」で切り分けると早い。直れば履歴が原因、直らなければ上のどれかを疑う。

これ、他のAIでも使えるの?

ツールチャットが重くなるか引っ越しテク備考
Copilotなる(30往復あたりから)有効。自動まとめが優秀Edge版はやや制限がきつい
ChatGPTなる(長いチャットで顕著)有効。同じ方法で使えるGPT-4のほうが長持ちする
Claudeなりにくい(長文に強い)使えるが必要になる場面が少ない長い会話に最も強い
Geminiなる有効Google Docs連携時は特に注意

どのAIでも基本的に同じテクニックが使える。「チャットが重い」と感じたら、引っ越しを試してみてほしい。なお、同じ作業でもAIによって得意・不得意があるので、議事録要約でChatGPTとClaudeを比較した記事のように、用途ごとに使い分けるのもおすすめだ。

引っ越しを習慣にするコツ

最初は面倒に感じるかもしれないけど、慣れるとこの引っ越し作業は30秒で終わる。

自分がやっているルーティン:

  1. 午前と午後でチャットを分ける — 午前の作業が一段落したら、午後は新しいチャットで始める
  2. テーマが変わったら新しいチャットにする — 「メール作成」から「資料作成」に移る時はチャットも変える
  3. 20往復を超えたらまとめを取る — これは無条件。超えたら即引っ越し

この3つを意識するだけで、AIが重くて仕事が止まることはほぼなくなった。

よくある質問

Q. Copilotの返事が遅い・重いのは、どれくらいのやり取りから?

A. 経験上、20〜30往復を超えたあたりから重くなりやすいです。資料作成や企画書など、1回のやり取りが長くなる相談ほど早く限界がきます。「応答が5秒以上かかる」「回答が途中で切れる」と感じたら、引っ越しのサインです。

Q. チャットを引っ越すと、それまでの内容は引き継げる?

A. 引き継げます。重くなったチャットで「これまでのやり取りを要約して、新しいチャットで続きができるようにまとめてください」と頼むと、Copilot自身がまとめを作ってくれます。それを新しいチャットの最初のメッセージとして貼り付ければ、文脈を保ったまま続きから始められます。

Q. この引っ越しテクは、ChatGPTやClaudeでも使える?

A. 使えます。ChatGPTやGeminiも長いチャットでは重くなるので、同じ手順が有効です。Claudeは長い会話に比較的強く、引っ越しが必要になる場面は少なめです。

Q. 会話は短いのにCopilotが重い・遅いのはなぜ?

A. チャットの長さが原因でない場合は、ブラウザ側(タブの開きすぎ・拡張機能)、PCのメモリ不足、Copilot側の一時的な混雑が主な原因です。不要なタブとアプリを閉じてブラウザやPCを再起動し、数分おいてから試すと切り分けられます。Word・ExcelのMicrosoft 365 Copilotが遅い場合は、開いているファイルの大きさやアドインの多さも影響します。

まとめ

  • AIチャットは長く使い続けると重くなる(仕様)
  • 「まとめて」と頼んで新しいチャットに引っ越すだけで解決
  • Copilotは「別のチャットに移りたい」と言えば引っ越し用のまとめを作ってくれる
  • 引っ越しのタイミングは20〜30往復が目安
  • プロンプトのテンプレートを用意しておくとスムーズ
  • 引っ越しても重い・遅いときは、ブラウザのタブ・拡張機能、PCのメモリ不足、一時的な混雑を疑う
  • 仕事中にAIが重くなったら、まずチャットの引っ越しを試そう

引っ越しのような小ワザも含め、Copilotを実務でどう活かすかはMicrosoft Copilot 事務職の活用ガイドに用途別でまとめているので、あわせて目を通しておくと安心だ。