あるあるの悩み:名簿がカオス
4月は異動の季節。総務や庶務を担当していると、こんな状況に心当たりがあるのではないだろうか。
- 同じ人が 微妙に違う名前で2行 登録されている(「田中 太郎」と「田中太郎」)
- 異動した人の 旧部署がそのまま 残っている
- 電話番号が ハイフンありとなし で混在している
- そもそも 誰が最新版を持っているのか わからない
Excelの名簿を開くたびに「これ、本当に合ってる?」と不安になる。かといって一件ずつ確認していたら日が暮れてしまう。
実はこの手の「データのお掃除」は、AIがとても得意な分野だ。今回は、ぐちゃぐちゃの名簿をAIにきれいにしてもらう方法を紹介する。
準備:名簿をテキストにする
まずはExcelやスプレッドシートの名簿データをAIに渡せる形にする。
やり方は簡単で、名簿の範囲を選択してコピーし、AIのチャット欄にそのまま貼り付けるだけ。タブ区切りのテキストとして貼り付けられるので、AIはちゃんと表として認識してくれる。
件数が多い場合(100件以上など)は、部署ごとに分けて貼り付けるとよい。一度に大量のデータを渡すと、AIの回答が途中で切れてしまうことがあるからだ。
やり方その1:表記ゆれを見つけて統一する
名簿で一番よくある問題が「表記ゆれ」だ。AIに次のようにお願いしてみよう。
プロンプト例: 以下の名簿データに表記ゆれがないかチェックしてください。特に以下の点を確認してほしいです。
- 氏名の全角スペース・半角スペースの混在
- 電話番号のハイフンの有無
- 部署名の略称と正式名称の混在(例:「営業部」と「営業」)
- メールアドレスの大文字小文字
見つかった表記ゆれを一覧にして、修正後のデータも出力してください。
これだけで、AIは名簿をスキャンして「ここが怪しいですよ」とリストアップしてくれる。
たとえば「経理部」「経理課」「経理グループ」が混在していた場合、「これらは同じ部署ですか?統一するならどの名称にしますか?」と聞いてくれることもある。こちらが「経理部に統一して」と返せば、全件まとめて直してくれる。
やり方その2:重複データを検出する
次に厄介なのが、同じ人が複数行に登録されているケース。名前の表記が微妙に違うと、Excelの「重複の削除」機能では見つけられないことがある。
プロンプト例: 以下の名簿から、同一人物と思われる重複レコードを見つけてください。名前の表記ゆれ(スペースの有無、旧姓など)も考慮してください。重複が見つかったら、どちらを残すべきか提案してください。
AIは「田中 太郎(営業部)」と「田中太郎(営業部)」を見て、「同一人物の可能性が高いです」と教えてくれる。さらに「電話番号が一致しているので同一人物と判断しました」と根拠も示してくれるので、安心して統合できる。
ただし、最終判断は必ず自分ですること。同姓同名の別人を統合してしまったら大変だ。AIの提案はあくまで「候補出し」として使おう。
やり方その3:並べ替えとグループ分け
名簿が整理できたら、用途に合わせた並べ替えもAIに頼める。
プロンプト例: 以下の名簿を、部署ごとにグループ分けして、各部署内では役職順(部長→課長→主任→一般)に並べてください。部署の順番は、総務部・人事部・経理部・営業部・開発部の順でお願いします。
Excelでも並べ替えはできるが、役職順のような「カスタム順序」での並べ替えはちょっと面倒だ。AIなら日本語で指示するだけでやってくれる。
「緊急連絡網用に、電話番号がある人だけ抜き出して部署順に並べて」といった複合的なリクエストにも一発で対応してくれる。
やり方その4:不足情報のチェック
名簿には「電話番号が空欄」「メールアドレスが入っていない」といった抜けもよくある。
プロンプト例: 以下の名簿で、電話番号またはメールアドレスが空欄になっている人を一覧にしてください。その人の部署と名前をリストにして、確認依頼メールの下書きも作ってください。
これで「誰の情報が足りないか」がすぐわかるし、各部署への確認メールの文面まで作ってくれる。一石二鳥だ。
実際にやってみた結果
私が実際に試したのは、約80名分の社内連絡先リストの整理だ。Excelで管理していたのだが、3年分の異動が反映されておらず、かなり荒れていた。
AIに渡してみたところ、こんな結果になった。
- 表記ゆれ:12件 検出(部署名の揺れが6件、名前のスペースが4件、電話番号の書式が2件)
- 重複レコード:3組 検出(うち2組は同一人物、1組は同姓の別人と判明)
- 空欄:8件 検出(退職者2名を除くと、実際に確認が必要なのは6件)
手作業だったら半日はかかっていたと思うが、AIとのやりとりは全部で30分ほどで終わった。
注意点:個人情報の取り扱い
名簿には氏名・電話番号・メールアドレスなど個人情報が含まれる。AIサービスに貼り付ける前に、自社の情報セキュリティポリシーを必ず確認しよう。
具体的には以下の点をチェックしてほしい。
- 社外のAIサービスに個人情報を入力してよいか
- 入力したデータがAIの学習に使われない設定になっているか
- 社内で承認されたAIツールはどれか
ChatGPTであれば「Chat history & training」をオフにする設定がある。Claude(Anthropic)は無料版でも入力データを学習に使わないポリシーになっている。いずれにしても、会社のルールに従うのが大前提だ。
不安な場合は、名前をダミーに置き換えてからAIに渡し、整理ルールだけ教えてもらうという方法もある。
まとめ
名簿整理は「やらなきゃいけないけど後回しにしがちな仕事」の代表格だ。でもAIを使えば、こんなふうに効率化できる。
- 表記ゆれの検出と統一 → コピペして「チェックして」と言うだけ
- 重複レコードの発見 → 人間が見落とすパターンもAIが拾ってくれる
- カスタム順での並べ替え → 日本語で指示すればOK
- 空欄・不足情報のチェック → 確認メールの下書きまでセット
4月の異動シーズンで名簿がカオスになっている方は、ぜひ試してみてほしい。30分で「探す時間ゼロ」の名簿が手に入るかもしれない。