「満足度アンケート作っておいて」の一言から1時間

上司から「来月の社内研修について、満足度アンケートを作っておいて」と言われた。

簡単そうに見えて、意外と時間がかかるのがアンケート作成。「設問は何個がいいんだろう」「選択肢はどう分ければ回答しやすいかな」「自由記述欄は入れるべき?」と考え始めると、気づけば1時間経っている。

過去のアンケートを探して参考にしようとしたけど、フォーマットがバラバラで余計に迷った。

そこで、AIにアンケートの設問を作ってもらうことにした。

詰まるのは「何を聞くか」ではなく「どう聞くか」

振り返ってみると、アンケート作成で詰まるポイントは3つあった。

  1. 設問の数と構成を決められない
  2. 選択肢の粒度が分からない(「満足・普通・不満」の3段階?5段階?)
  3. 回答者が答えやすい聞き方が思いつかない

要するに、「何を聞くか」は分かっているのに、「どう聞くか」で手が止まる。これはビジネスメールの返信をAIに任せるのと同じパターンで、AIが得意な領域だ。

目的とフォーマットを渡して丸ごと作らせる

AIチャットに、こう送るだけ。

「社内研修の満足度アンケートを作ってください。対象は全社員30名、研修内容はビジネスマナー研修(2時間)。設問は8〜10個、5段階評価と自由記述を混ぜてください。Googleフォームに貼れる形式でお願いします。」

ポイントは4つ。

  1. 目的を伝える(満足度調査、改善点の洗い出しなど)
  2. 対象者と人数を入れる(回答しやすさの基準になる)
  3. 研修の概要を簡単に書く(設問の具体性が上がる)
  4. 出力形式を指定する(Googleフォーム用、Excel用など)

この4つ——目的、対象者と人数、研修などの概要、そして出力形式——を渡すのが、プロンプトで押さえるべき勘どころだ。これだけで、そのまま使えるレベルのアンケートが出てくる。

同じ依頼を3つのAIに作らせて並べた

同じ依頼を3つのAIに投げて、出てきたアンケートを比較した。

ChatGPTのアンケート

  • 設問を10個きっちり作ってくれた
  • 5段階評価の設問と自由記述のバランスが良い
  • 「研修前と比べて理解度はどう変わりましたか」 のような比較型の設問を入れてくれた
  • Googleフォーム向けに「セクション分け」の提案もあり、構成力が高い

Claudeのアンケート

  • 設問は9個。全体的に回答者への配慮が感じられる
  • 「この設問で何を知りたいか」の意図メモが各設問に付いていた
  • 選択肢の文言が自然で、回答する側としてストレスが少ない印象
  • 設問の順番にも気を配っていて、答えやすい順に並んでいた

Copilotのアンケート

  • 8個とコンパクト。シンプルで分かりやすい
  • Excel形式での出力が得意で、集計用の列構成まで提案してくれた
  • 設問はやや一般的で、研修内容に特化した質問は少なめ
  • ただしGoogleフォームへの貼り付け手順も教えてくれて親切

どれを使う?

設問の質と構成重視ならChatGPTかClaude、すぐExcelで集計したいならCopilotという印象。

個人的にはClaudeの「意図メモ付き」が便利だった。各設問に「この設問で何を知りたいか」のメモが付くので、上司に「なぜこの設問を入れたのか」を説明しやすい。設問の質と構成を最優先するならChatGPTかClaude、とにかく早くExcelで集計に回したいならCopilot、と割り切って選べば迷わずに済む。

もう一歩踏み込む、3つの追加リクエスト

基本の依頼だけでも十分使えるが、もう一歩踏み込むと精度が上がる。とくにCopilotを日常業務の相棒にしたい人は、Copilotを事務仕事に活かす総合ガイドで他の場面での使い方もあわせて押さえておくと応用が利く。

回答率を上げたいとき

「回答時間が3分以内に収まるように設問数を調整してください」 と追加する。AIが設問を削ったり統合したりして、コンパクトにまとめてくれる。

特定の情報を引き出したいとき

「次回の研修テーマ選定に使いたいので、受講者が今後学びたい分野を聞く設問を入れてください」 のように、アンケート結果の使い道を伝える。目的が明確だと、AIの設問設計がグッと具体的になる。

過去のアンケートを改善したいとき

過去のアンケートをコピペして、「この設問を改善して、もっと回答しやすくしてください」 と頼む。回りくどい聞き方やダブルバーレル(1つの設問で2つのことを聞いている)を指摘して直してくれる。

AIが作ったアンケートは、そのまま配ってはいけない

ここで一番気をつけたいのが、AIの出力をそのまま配布しないことだ。よく「AIが作ったアンケートはそのまま使って大丈夫?」と聞かれるが、私の答えは「必ず自社の文脈に合わせて微調整してから」になる。

理由はシンプルで、研修名や部署の呼び方、社内でしか通じない用語をAIは知らないからだ。ビジネスマナー研修の正式名称も、「〇〇部」という組織名も、AIは一般名詞に置き換えて出してくる。ここを自分で直さないまま配ると、回答者に「これ、うちの研修のこと?」と余計な迷いを与えてしまう。

やることは難しくない。出てきた設問にざっと目を通して、固有名詞と言い回しを社内の実態に合わせるだけ。この一手間を挟むかどうかで、回答のしやすさも回収率も変わってくる。

個人が特定される設問と、集計のしやすさに注意

微調整とあわせて、設計の段階で気にしておきたい点がもう2つある。

  • 個人が特定される設問に注意。部署と役職を両方聞くと、少人数の部署では誰の回答か分かってしまう。無記名のはずが実質記名になってしまわないよう、聞く属性は絞る。
  • 集計のしやすさも考える。自由記述ばかりだと集計が大変。5段階評価と自由記述のバランスは7:3くらいがおすすめ。

こうしてAIに下書きを作ってもらい、自社の文脈に合わせて調整する。この流れに慣れると、1時間かかっていたアンケート作成が10分で終わる。とくに「設問の設計」と「選択肢の作り方」はAIの得意分野なので、設問に悩む時間が消えるだけで他の仕事に集中できる時間が増える。アンケートで集めた現場の声は、そのまま業務改善のアイデア出しの材料にもなるので、「聞いて終わり」にせず改善につなげれば、次の企画もぐっと通しやすくなるはずだ。