何が起きたか
上司から「来月の社内イベントの企画案、3つ出して」と言われた。
ホワイトボードの前でうーんと唸ること30分。出てきたのは「バーベキュー」だけ。去年もやったやつ。
アイデアを出すのが苦手なわけじゃない。ゼロから考え始めるのがしんどい。
そこで試しにAIに「壁打ち相手」になってもらったら、10分で8個のアイデアが出てきて、そこから3つに絞るだけで済んだ。
なぜアイデア出しで手が止まるのか
「何かいい案ない?」と聞かれたとき、頭の中では2つのことが同時に起きている。
- アイデアを出す(発散)
- これでいいか判断する(収束)
この2つを同時にやろうとすると、思いついた瞬間に「いや、これは微妙かも……」と自分でボツにしてしまう。結果、何も出てこない。
AIを壁打ち相手にするメリットは、発散の部分をAIに任せて、自分は選ぶだけに集中できること。質より量をまず出してもらい、そこから選べばいい。
やり方
ステップ1:ざっくり状況を伝えてアイデアを出してもらう
AIチャットに、こんなふうに送る。
「社内イベントの企画案を考えています。参加者は30人くらいで、予算は5万円、平日の午後に2時間でできるもの。楽しくてチームの交流が深まるような企画を10個提案してください。」
ポイントは3つ。
- 目的を伝える(チーム交流を深めたい)
- 制約条件を入れる(人数・予算・時間)
- 数を指定する(10個、と多めに頼む)
数を多めに指定するのがコツ。5個だと無難なものしか出ないが、10個頼むとAI側も「変わり種」を混ぜてくるので、意外なアイデアに出会える。
ステップ2:気になったアイデアを深掘りする
10個の中から「これ面白いかも」と思ったものを1〜2個ピックアップして、さらに聞く。
「3番目の『社内クイズ大会』が気になります。具体的な進行イメージとタイムスケジュールを考えてください。盛り上がるための工夫も3つ提案して。」
ここがAI壁打ちの真骨頂。人間相手だと「もうちょっと詳しく」と何度も聞くのは気が引けるが、AIなら遠慮なく深掘りできる。
ステップ3:別の切り口を試す
もう少しアイデアがほしいときは、視点を変えて再度聞いてみる。
- 「参加者が受け身にならないイベントにしたいです。体を動かす系で再提案して」
- 「前回バーベキューだったので、屋内で新鮮味のあるものを」
- 「新入社員が話しやすくなるような仕掛けがあるイベントに絞って」
条件を変えるたびに違う角度のアイデアが出てくる。これを1人でやるのは大変だけど、AIとのチャットなら3分で終わる。
ChatGPT・Claude・Copilot で比較してみた
「新しい社内報のコーナー企画を10個考えて」という同じお題を3つのAIに投げてみた。
ChatGPTのアイデア出し
- 反応が速く、ポンポンとアイデアが出てくる
- バリエーションが豊富で、定番から変わり種まで幅広い
- 各アイデアに短い説明がつくので選びやすい
- ただし、やや表面的で「それ本当にできる?」と思うものも混じる
Claudeのアイデア出し
- 1つ1つのアイデアが丁寧で、実現可能性が高い
- 「なぜそのアイデアが効果的か」まで説明してくれるので、上司への説明にそのまま使える
- 深掘りしたときの回答が具体的で実践向き
- 数を出すスピードはChatGPTに少し劣る
Copilot(Microsoft 365)のアイデア出し
- WordやPowerPointの中でそのまま使えるのが便利
- 既存の社内資料を参照しながら提案してくれる場合がある
- アイデアの質はChatGPTと同程度
- 企画書に直接流し込めるのが最大の強み
比較まとめ
| 観点 | ChatGPT | Claude | Copilot |
|---|---|---|---|
| アイデアの量 | 多い | 普通 | 普通 |
| アイデアの質 | 幅広い | 深い | 実用的 |
| 深掘りの精度 | 普通 | 高い | 普通 |
| 手軽さ | ブラウザで開く | ブラウザで開く | Office内で完結 |
| おすすめの人 | とにかく数がほしい人 | 説得力ある企画にしたい人 | Office上で企画書を作る人 |
どれを選べばいいの?
壁打ち相手としてはどのAIでも「1人で悩む」より圧倒的に速い。
使い分けるならこんな感じ。
- アイデアの数で勝負したいなら → ChatGPT(多めに出して取捨選択)
- 企画の説得力を重視するなら → Claude(理由付きで提案してくれる)
- 企画書をそのまま作りたいなら → Copilot(Officeと連携が楽)
個人的には、最初のアイデア出しはChatGPTで量を出して、気になったものをClaudeで深掘りする「2段階方式」がいちばんしっくりきた。
壁打ちをもっと効果的にするコツ
1. 「ダメ出し」もAIに頼む
自分のアイデアをAIに送って**「この企画の弱点を3つ指摘して」**と聞くと、自分では気づかなかった穴が見つかる。上司に突っ込まれる前に対策できるので、企画の精度がグッと上がる。
2. 立場を指定する
**「あなたは社内イベントの企画を100回以上やってきたベテラン総務です」**と前置きすると、より実践的で経験に基づいたアイデアが出てくる。
3. 「もっと」を恐れない
「もっと斬新なやつ」「もっと低予算で」「もっとZ世代ウケするやつ」と何度でも追加注文できる。人間相手だと3回目くらいで気まずくなるが、AIなら100回聞いても嫌な顔をしない。
注意点
AIのアイデアをそのまま採用するのではなく、最終判断は必ず自分で行うこと。
AIは社内の人間関係や過去の経緯を知らないので、「それ、去年やって不評だったんだよね」というアイデアが出てくることもある。AIが出してくれたアイデアを「素材」として使い、社内事情に合わせてアレンジするのがベストな使い方。
また、社外秘の情報(売上データや人事情報など)をAIに送る場合は、社内のAI利用ガイドラインを確認すること。
まとめ
- アイデア出しで手が止まるのは**「発散」と「収束」を同時にやろうとするから**
- AIに壁打ち相手を頼むと、10分で大量のアイデアが出てくる
- 「数を多めに指定する」「深掘りする」「切り口を変える」の3ステップが効果的
- アイデアの量ならChatGPT、説得力ならClaude、Office連携ならCopilot
- 最終判断は自分で。AIのアイデアは「素材」として使う