提出してから気づく「あの恥ずかしさ」

上司に提出した報告書を、あとから読み返して誤字を発見した経験はないだろうか。

私はある。しかも「検討」が「検当」になっていたとか、そういう微妙なやつではなく、取引先の社名を間違えていたことがある。あのときの冷や汗は今でも忘れられない。

自分で何度読み返しても、人間の目は「読めてしまう」から見落とす。脳が勝手に正しい文字を補完してしまうのだ。

そこで、AIに校正をお願いしてみることにした。

やり方はとてもシンプル

やったことは本当に簡単で、ChatGPTやClaudeに次のように頼むだけ。

以下の文章の誤字脱字・表記ゆれ・文法の誤りをチェックしてください。修正箇所は「修正前 → 修正後」の形式で一覧にしてください。

あとは自分が書いた文章をそのまま貼り付けるだけ。コピー&ペーストで完了する。

実際にやってみた

試しに、800文字くらいの社内向け報告書をわざと数か所間違えて、ChatGPTとClaudeの両方に投げてみた。ちなみに報告書や日報の下書き自体をAIに作らせる方法と組み合わせると、作成から校正まで一気通貫でこなせる。

仕込んだミスはこんな感じ:

  • 「弊社」と「当社」の混在(表記ゆれ)
  • 「検討をおなこいます」(タイプミス → 正しくは「おこないます」)
  • 「4月1自より」(漢字の変換ミス → 正しくは「4月1日より」)
  • 主語と述語のねじれ(長い修飾語を挟んで「今回の施策は……実施いたしました」と主語と述語の対応が分かりにくい文にした)

ChatGPTの結果

4つのミスのうち3つを正確に指摘してくれた。タイプミスと漢字の変換ミスは即座に検出。表記ゆれも「弊社と当社が混在しています」とちゃんと教えてくれた。

ただ、主語と述語のねじれについては「やや読みにくいですが文法的には問題ありません」というコメントにとどまった。

Claudeの結果

こちらも3つを正確に指摘。検出したミスはChatGPTとほぼ同じ。

違いが出たのは指摘の仕方で、Claudeは「ビジネス文書としてはこちらの表現が一般的です」と代替案をセットで提示してくれた。ただ校正するだけでなく、より自然な言い回しを提案してくれるのは地味にありがたい。

結論:どちらも十分に使える

正直なところ、事務職の日常的な文書チェックならどちらを使っても大きな差はない。どちらも人間がセルフチェックするより圧倒的に速くて正確だった。今回のように800文字ほどの報告書へわざとミスを仕込んで両方に投げたときも、それぞれ4つのうち3つを確実に拾ってくれた。唯一、人名・社名・製品名といった固有名詞の正誤だけはAIにも判断しにくいので、そこは自分の目で押さえる前提でいれば、日常の文書チェックには十分すぎる実力だ。

強いて言えば、ChatGPTは「ここが間違っています」とストレートに指摘するスタイル、Claudeは「こう書くともっと良くなりますよ」と提案するスタイル、という印象。好みで選んで問題ない。なお、誤字脱字だけでなく敬語の誤りや不自然な言い回しが不安なときは、同じAIにまとめてチェックを頼むのも手だ。

コツを3つ紹介

何度か試すうちに分かったコツを共有する。

1. 「ビジネス文書として」と指定する

ただ「校正して」だと、カジュアルな言い回しをスルーされることがある。「ビジネス文書として不適切な表現も指摘して」と伝えると精度が上がる。

2. 一度に貼る量は1,000〜2,000文字くらいがベスト

長すぎると後半の指摘が雑になることがある。報告書をセクションごとに分けてチェックするのがおすすめ。

3. 最終確認は自分の目で

AIも完璧ではない。特に固有名詞(人名・社名・製品名)の正誤はAIには判断しにくい。「AIが見てくれたから大丈夫」と全部を任せきりにすると、かえって社名の取り違えのような致命的なミスを見逃しやすい。AIに大きなミスを潰してもらって、固有名詞だけ自分で最終確認する——この役割分担が一番効率的だ。

校正はメール仕事の仕上げ工程。下書きから申請まで含めたメール全体のAI活用は、文書とメール作成のコツをまとめたガイドにまとめています。

やることは、文章をコピペしてAIに校正を頼むだけ。かかる時間は30秒から1分ほどなのに、セルフチェックで何度も読み返すよりずっと速く、しかも誤字脱字の見落としは目に見えて減る。自分の目だと脳が勝手に正しい文字へ補完してしまって見落とすものも、初めてその文章を読むAIならフラットに拾ってくれるからだ。固有名詞だけは自分の目で最終確認する、という一手間さえ守れば、私にとっては「提出後の冷や汗」をゼロにできるのが一番のメリットだと思う。あの取引先の社名ミスのような赤っ恥を二度とやらかさないためにも、騙されたと思って、次に報告書を書くときに一度試してみてほしい。